低電圧遮断器の種類

低電圧遮断器は様々な種類に分類されます。ここでは、一般的な種類を紹介し、その構造、機能、そして一般的な用途を詳しく説明することで、皆様に理解を深めていただけるよう努めます。

ミニチュア遮断器（MCB）
構造と動作：ミニチュア遮断器はコンパクトなサイズで、通常はシンプルなトグル式の操作機構を備えています。内部には、バイメタルストリップと電磁トリップ素子が内蔵されています。電流が定格値を超えると、過電流による発熱でバイメタルストリップが曲がり、ブレーカーがトリップします。短絡が発生した場合は、電磁トリップ素子が速やかに作動し、ブレーカーをトリップさせます。
保護機能：主に過電流および短絡保護を提供します。定格電流は比較的低く、通常は数アンペアから125アンペア程度です。
用途：住宅の電気システムにおいて、照明回路や室内のコンセント回路などの個別回路を保護するために広く使用されています。また、小規模な商業・産業用途においても、小規模電気機器や分岐回路の保護に使用されます。
モールドケース遮断器（MCCB）
構造と動作：モールドケース遮断器は、すべての内部部品を囲む絶縁モールドケースを備えています。MCBに比べて堅牢な構造で、通常16アンペアから2500アンペア以上の高電流に対応します。内部構造には、過電流および短絡保護用の熱磁気式トリップユニットなどの高度なトリップユニットが搭載されており、一部のモデルには、より正確な保護設定のための電子式トリップユニットも搭載されています。
保護機能：過電流、短絡、そして場合によっては漏電保護を提供します。過負荷に対する長時間遅延保護や短絡に対する瞬時トリップなど、さまざまな保護特性に合わせて調整可能です。
用途：商業・産業用の低電圧配電システムで広く使用されています。配電盤、分電盤、モーター制御センターに設置され、モーター、変圧器、配電回路などの大型電気負荷を保護します。
フレーム遮断器（エア遮断器、ACBとも呼ばれます）
構造と動作：フレーム遮断器は、低電圧遮断器の中で最大かつ最も強力な遮断器です。内部部品を機械的に支え、保護する金属製のフレームを備えています。630アンペアから6300アンペア、あるいはそれ以上の非常に高い電流を処理できます。消弧媒体として空気を使用します。操作機構は手動、電気、空気圧式があります。様々な保護機能や設定をプログラムできる電子式トリップユニットを含む、高度なトリップユニットを備えています。
保護機能：過電流、短絡、地絡、低電圧に対する包括的な保護を提供します。電気系統内の他の保護装置と連携して、異なるトリップ特性を設定できます。​
用途：大規模産業プラント、発電施設、高層ビルの主配電系統で使用されます。配電盤や配電センターの主遮断器として設置され、重要な電気機器を保護し、電力供給システム全体の信頼性を確保します。​
漏電遮断器（RCCB）と過電流保護機能付き漏電遮断器（RCBO）​
構造と動作：RCCBは、漏電（漏れ電流）を検知して対応するように設計されています。RCCBには、活線と中性線に流れる電流を監視する高感度変流器が内蔵されています。2本の導体間の電流差（漏電電流）が設定値（通常は人体保護のため30mA）を超えると、遮断器がトリップします。 RCBOは、RCCBとMCBまたはMCCBの機能を兼ね備え、漏電保護と過電流保護の両方を1つの装置で提供します。
保護機能：RCCBは、漏電を検出すると回路を迅速に遮断することで、感電の危険から保護します。RCBOは、漏電保護に加えて、過電流と短絡に対する追加の保護機能も提供します。
用途：住宅、商業、産業用の電気システム、特に浴室、キッチン、屋外電気設備、携帯型電気機器への電力供給回路など、感電の危険性が高い場所に設置されます。